映画の海に漕ぐ

ランダムに借りてきたDVDで観た映画の記録

きみに読む物語

2004年のアメリカの映画「きみに読む物語」を観た。
内容としては分かりやすいラブストーリーだった。構成の仕掛けによって感動が増幅したように思うが、見終わった直後は、言葉に出来ない何かがまっすぐ胸に届いてきた。
たったひとりの人を、文字通り死ぬまで深く愛し続けることは、現実には難しいのだろう。この映画が全米で大ヒットしたのは、そのことへの憧れを多くの人が持っているからのように思う。
この映画によって「ひとりの人を生涯愛し続けること」の、いやおそらくは「ひとりの人と生涯愛し合うこと」の素晴らしさを感じた。それができたら、なんて豊かな人生だろうと。そして、そこまで思ったとき、是枝監督の映画「海よりもまだ深く」の中のセリフを思い出した。
バツイチの息子に70歳くらいの母親が言う「あたしは海よりも深く誰かを好きになったことなんてない」という言葉。さらにこう続く。普通の人にはそんなことはないものだけれど、それでもみんな生きていくのだと。私はこの「海よりもまだ深く」がとても好きだ。これほど骨の髄まで響いた映画はないと言えるくらいに、私の中では他の映画とは一線を画したものになっている。
きみに読む物語」に話を戻すと、原書の「The Nootbook 」は恋愛小説の金字塔と呼ばれていて、NYタイムズで56週連続ベストセラー入りを果たしたのだとか。主人公たちの深い愛が小説の世界でどう描かれているのか(もちろん原書が先なのだけれど)、読んでみたい気がする。