映画の海に漕ぐ

ランダムに借りてきたDVDで観た映画の記録

湯を沸かすほどの熱い愛

宮沢りえ主演の「湯を沸かすほどの熱い愛」を観ました。
観てから3か月ほどがたつのですが、しばらくは感想を言葉にするのを避けたいような、観たものをそのまま自分の中に留めておきたいような、そんな感覚がありました。その感覚は今も薄れていませんが、こ映画を観たということの記録は、やはり残しておこうと思った次第です。
これから先、この映画のタイトルを見たとき、聞いたときには、きっと映画の中のありとあらゆる場面がフラッシュバックするだろうという気がします。
登場人物たちは、みんな普通に自分の人生を生きているのだけれど、どの人生も特別でした。なかなか起こらないことが起こったり、めったにないような境遇に生まれることが特別なのではなく、自分に生まれて自分として生きていくことこそが特別なのでしょう。その特別の前では、魅力的な人になりたいとか、しっかり生きていきたいとか、あるいは家族を大切にしたいという言葉でさえ、綿のように軽いものに思われます。(などというと、誤解を招きそうですが、)
この映画の主人公は、末期ガンが見つかって残り少ない命と知ります。「私には、やらなきゃいけないことが、まだある」という台詞の通り、病気のことなど忘れたかのように様々なことに心血を注ぎます。それを、主人公が家族のためにしたことと捉えることもできそうです。その解釈が間違っているとは思いませんが、私には、主人公が自分のために行動しているようにも見えました。もっと言えば、自分のためとも家族のためとも思っているわけではなく、ただ、そうしたいからしているだけ、つまりは自分の人生を生きているだけ、というように映りました。
感想を言葉にしたくなかったはずなのに、あれこれ述べましたが、感想というよりは、こんな風に見えたという覚え書きのつもりです。